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日記兼備忘録

ただしい人類滅亡計画 感想

品田遊先生の「ただしい人類滅亡計画」初見感想

まず単純な面白い・面白くないで言うと、めちゃくちゃ面白い本だった!本は新書、雑学文庫、実用書を読むことが多く、小説は殆ど読まなくなった自分的には凄く面白かった。小説ではあるが、内容的に哲学書のようでその2つの中間という感じだった。小説ほど読みやすくはないが、哲学書ほど読みにくくもなく、哲学にちょっと興味があるけど知識は殆どない自分のような人間にはピッタリの本だったと思う。

この本は10人の人間が人類滅亡に関しての議論を行うというストーリー。それぞれが異なった考えを当然持っており、どういう主義かが最初に書かれている。まず、これがいいなと思った。
哲学書はだいたい筆者の考えに基づいて書かれているので、筆者の考えと自分が今まで持っていた考え以外はあまり意識することなく終わってしまう(と思う)。しかし、この本はキャラクターがそれぞれの主義に従って会話を行うので、この本1冊で色々な意見を知ることが出来る。正しい・正しくないが存在しないことに関する意見なので、多くの意見を知ることこそが自分の意見や考え方を深めてくれると思う。

以下ネタバレ含む

自分的に共感出来た考え方はイエロー、ゴールド、グレーの3人。度合いでいうと、イエロー:3、ゴールド:1、グレー:6ぐらいのイメージ。
多分だいたいの人はグレーに共感するように書かれているんじゃないかな〜とも思った。書き方的に最後の最後にグレーの考え方をバーッと書いてあるので、グレーの考え方が最終の結論として残る人が多いのではないかと思った。しかもグレーの考え方はわかりやすくて共感もされやすそう。

順番にいくとイエローの楽観主義は自分の置かれてる環境とかが物凄く恵まれてるので共感しやすかった。大した苦労もなく順風満帆に生きてこれたので、人生楽し〜という感覚が今までの実績を元に生成されている気がする。

ゴールドの自分史上主義も当然あるっちゃある。そこまで強烈なものではないにしろ自分が死んだ後ならどうでもいいんじゃない?という感覚もある。ただ、輪廻転生の考え方が個人的には物凄く好ましいと思っており、色々なことの理由付けに出来るとも自分は思っている。その観点からいくと、「自分」が死んだ後も別の「自分」として生きていくものとして自分は認識している。なので、自分史上主義そのものは理解出来るが、人類滅亡云々に関しては結局別の自分として無限に存在し続けるので共感度合いとしてはそこまで高くない。

グレーは多分極端な主義とかはなく普通?な人として書かれてる?のかなと思った。だいたいの人間はそこまで強烈な主義とかはなくなんとな〜くで良い・悪いを判断して生きていると思う。そういうなんとなくの部分を「なんとなくだよ」ときちんと語らせるキャラクターとして登場させたんでは無いだろうか。だからこそ内容的には1番共感出来たし最終の結論にも物凄く納得出来た。
最終の魔王との問答も物凄く共感出来た。自分にとってどうなのか、結局自分がどう感じるかだよね(我思う故に我ありの考えに通じている)ということが説得力のある文で書かれていたような気がする(深く読み込めていないので違いそうな気もするけど)。

他のキャラクターに関してはどの意見を読んでも「フィクションのキャラクターが何か言ってるな」くらいの温度感で正直共感とかそういうレベルのものでも無かった。これは知識とか今までの経験とかそういうものが足りないからだとは思うが。


自分ではない他の誰かがこの本を読んで、どの考え方に共感出来て、逆にどの考え方には共感出来なかったか、その理由は何なのかを色々聞いてみたくなった。そういう点でもこの本をよくできているというか良い本だったなと思う。