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日記兼備忘録

アリスとテレスのまぼろし工場 感想

めちゃくちゃ良かったので感想を書きます。
あらすじとしては道も塞がれて時間も止まった町に閉じ込められて生きる中学生のお話。なんやかんやあって自分が変化すると消えちゃう!ヤバい!となっていく。けど、何やかんやでいい感じに終わる。ネタバレします。

何やかんやいい感じに終わるだけで主人公達の生きる世界は別に何も変わってないというのが肝だと思う。町からは出れないし、時間は止まってるし、消えるかもしれない危険性はあるままの世界。世界は何も変わっていないが、考え方とかを変えれば良いだけという結論を主人公が出していたのが個人的には凄く良かったと思う。
だいたいの作品だと分岐した世界とかが発生した場合、元の世界を主として分岐した世界は放っておかれている気がする。けど、放っておかれた方の世界でも人達は生きていて、これからも生きていくんだなというのをこの作品を見て感じた。仮に時間が止まっていたとしても人は変化出来るという感じのことを主人公の父親がノートに書いていた気がするが、これは...いいな...と思って泣いてしまった。

登場人物で言うと、神主?的な奴がこの映画の肝だと思う。普通に見てると悪い奴〜という感じだが、あの世界の事だけを考えると至極まともなことをしていると思う。物語の終盤で他の登場人物達も同じような考え方に向かっていって主人公達とは相反する行動をするというのがその裏付けでもある。他の登場人物はいつか元に戻れるとただ生きていただけに対し、この神主だけどうやってこの世界で生きていくかを楽観的・ポジティブに考えていたかの違いだと思う。正に考え方・捉え方の違いということである。

後は、生きることに付随しての「好き」という感情の書き方が個人的には凄く刺さった。告白してからの雪の中のシーンはめちゃくちゃにやけながら見てた。ストレートにキュン...という感じでは無かったが、変則的なキュンを食らった感じがある。最後の列車でヒロインが1つくらいはちょうだいと言ってるシーンもずるいな〜と思いつつ、ええやん...となっていた。

タイトルに「アリスとテレス」とあるように割と哲学的な感じだった。というか、アリスもテレスも出てこないので哲学的な意味を持たせたくてこういうタイトルにしたんだと思う。「生きる」というのがどういうことなのか。今いる場所がまぼろしだったとしたら自分は生きていると言えるのか?時間が止まっているのならばそれは生きていると言えるのか?こういう正に哲学的という問に対して、そういう設定の世界で生きているキャラクターが答えを出すというところが何というか...良かった!!!という感じです!!